こんにちは。「中小企業の広報に役立つマガジン」編集の安部です。
・広報誌、会報誌を初めて立ち上げる方
・コンセプトってよく聞くけど何? と疑問だった方
コンセプトってなんでしょう? 広報誌や会報誌に限らず、ものづくりをするときの根っこになるコンセプト。 広報誌や会報誌をつくるにあたって最も重要なのは、私の経験上、コンセプトです。これはおそらく間違いありません。
コンセプトが存在しない雑誌は作っている側もどこかボンヤリ、読んでいる側もどこかモヤモヤ。カタチにはなっても、読んでも心を動かされることがありません。
家を建てるときの大黒柱のような存在ですが、実際にそのつくり方がピンと来ないという人も多いようです。
中にはパッと思いついてササッと決めてしまえる人もいますが、誰もがそんな発想を生み出せるわけではありません。この記事では広報誌、会報誌のコンセプトづくりに役立ついくつかのヒントをお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。
コンセプトって、簡単にいうと……?
広報誌や会報誌づくりに不可欠なコンセプト。でもいきなりコンセプトと言われても……と迷われる方も多いかと思います(かつて私もそうでした)。
大丈夫、あまり難しく考えなくてOKです。ここで言うコンセプトとは、言い換えれば「一言で言えばどんな雑誌?」とか「一番主眼に置いてるのはどんなこと?」とか、そういうことです。
「これを読んだ読者がどう変わるか」という視点で考えるとつくりやすいかもしれません。
例えば「ウチの会社の雰囲気を、新しいお客さんにもっと知ってもらいたいんだよなあ」という狙いをお持ちであれば、「A社の履歴書」とか「社員の顔を伝えるマガジン」とかの案が浮かんできます。
ここで気をつけたいのが、テーマと混同しないことです。たとえば「広報誌のコンセプトは新商品紹介で行こう」、これはコンセプトではなくテーマです。もちろん広報誌の役割を新商品紹介に特化させるのはOKです。ただ重要なのは、その広報誌を読んだ読者に、新商品紹介についてどんな変化を与えることができるか、という視点です。
「経理のシゴトをラクにする」というコンセプトだとどうでしょうか。その広報誌によって、経理部門にいる人たちが自分たちの業務を効率化するヒントを得られますよね。もちろんそのヒントの中に、紹介したい新商品のページを掲載すれば、テーマとコンセプトが両立した状態になるわけです。
なぜ、広報誌や会報誌にコンセプトが必要なのか
なんで広報誌や会報誌にコンセプトが必要なのか? その理由は大きく2つあります。
1つは、広報誌っていうのはずっと発行を続けていくもので、そこに多くの人々が関わってくるからです。 編集長、編集委員、社内の協力者、取材先、ライター、カメラマン、デザイナー、印刷会社……社内外を問わず、たくさんの人たちとつくっていきます。その上で大切なのは、みんなが同じ方向を向いていることです。
コンセプトは、みんなが同じ方向を向くための灯台のような役割を果たします。
たとえば編集会議で次号の特集を決めるとき。たくさんの案からどうやって絞っていけばいいか、その取捨選択の基準にコンセプトがあります。「この企画はウチの広報誌っぽくないね」という判断の根拠にすることができます。
ほかにも、外部ライターがインタビュー記事を書くとき、インタビュー相手がいろんな話をしてくれたとします。「どの話も面白かったから使いたいけど、文章量には限りがあるし、何を削ればいいんだろう」、そんなときにもコンセプトに立ち返ることで、自社と同じ方向を向いて適切な情報を選び取ってくれるようになります。
みんながバラバラの方向を向いていると、全体的なまとまりが失われて、自分たちの広報誌らしさが無くなったり、全ページを通して読むと「なんかめちゃくちゃ……」とガッカリの仕上がりになりかねません。
コンセプトをしっかり共有しておくことで、みんながそれぞれの個性を発揮しつつ、全体としては一貫性があるという理想的な広報誌が完成します。
「でもウチは担当が自分ひとりだから、やっぱコンセプトなんていらないんじゃ……」というケースもあるかもしれません。 いえ、たとえ自分ひとりで作っていたとしてもコンセプトは必要なんです。例えば、今月号と来月号の方向性を自分の気分だけでコロコロと変えていると、読者はついていくことができず支離滅裂な印象を与えてしまいます。もちろんそういう方法で成立している雑誌もありますが、それはその支離滅裂さがコンセプトの根幹になっているからです。広報誌や会報誌という性格上、それをやってしまうと企業イメージが定着しなくなってしまうので、やっぱり根っことなるものを明文化しておくというのは重要なことだと思います。
広報誌・会報誌のコンセプトのつくり方
じゃあ具体的にはどうやってつくっていけばいいのでしょう。 パッと思いつかない、という方がほとんどじゃないかと思います。 やりかたはいろいろなので、私が試して良かった方法を紹介します。
いろんな雑誌のキャッチコピーをチェックする
書店に並んでいる雑誌の表紙を見てみてください。「なりたいのは、ハンサムな女の子」「ぽっちゃり女子のオシャレバイブル」「デジタルツールを楽しむ本」「THE GUIDE TO A BETTER LIFE」「テストするモノ批評誌」……雑誌タイトルの脇に、いろんなキャッチコピーが見つかると思います。
このキャッチコピーは雑誌のコンセプトを一言で表現したものです。削ぎ落とされて洗練されているコピーが多いですが、中にはターゲット層などまで明示したものもあり、参考になります。
別に糸井重里氏のような優れたコピーをつくる必要はありません。一言で100万人を動かせるような言葉じゃなくても、読み手となるお客さまのことを考えて、その人たちにどう感じてほしいか、真剣に考えてひねり出していきましょう。
そういう一生懸命さや誠実さ、丁寧さは、必ず人の心に響くと思います。
地味ですが、焦らずじっくり向き合っていきましょう。
ターゲット(A)を決める→何を届けるか(B)を決める→「AにBを届ける広報誌」という型を使う
読み手となるお客さまにとっても、「誰が何を受け取れるのか」がパッとわかる広報誌というのは良いものです。
この「AにBを届ける広報誌」という型を使うだけで網羅できます。前にも述べたとおり、無理やり優れたキャッチコピーにしようとしなくてもいいので、慣れないうちはこの型をもとに考えるのがいいかもしれません。
私が広報誌の企画をお手伝いするときは、まず「誰に向けた広報誌なのか?」を詰めていきます。
BtoC企業の場合はけっこう具体的に絞り込んでいきます。年齢、性別、職業、趣味などを細かく設定した架空の人物をつくり、ターゲットとして共有します。
そういえば、昔リクルート社が刊行していた「R25」は誌名がそのまんまターゲットになっていました。このターゲット層は長文を読まない傾向があると言われ、記事は短くてわかりやすい文章で上手くまとめられていました。つまりターゲット層の特徴をそのままコンセプトに援用したわけですね。
BtoBビジネスを扱う企業の場合にはわりとザックリすることが多いです。「●●系メーカーの調達部門向け」とか「●●系企業の部長職」とか、そんな感じですね。
例えば私のこのサイトは「中小企業の広報をお手伝いするWEBマガジン」と銘打っています。まさに「AにBを届ける広報誌」と同じような型を使ったコンセプトにしています。
おまけ コンセプトづくりに必要な6つのポイント
スタンフォード大学のチップ・ハース教授とダン・ハース氏によると、コンセプトをつくるには6つのポイントがあるそうです。 コンセプトづくりに必要な6つのポイント
- 単純明快であること
- 意外性があること
- 具体的であること
- 信頼性があること
- 感情に訴えること
- 物語性があること
これは広告寄りの考え方なので、全部まるごと従わなくてもいいかなというのが私の意見です。たとえば2の意外性は、ユニークさを売りにしている企業、あるいは狙って意外性を与えたいという意図のない限りは必要なさそうです。
コンセプト案を詰めていくときに何かが足りないと思ったら、これら6つを参考にしてみるとよいかもしれません。
広報誌・会報誌の発行を続けていれば、独自のスタイルが見えてくることも
先に述べたように、コンセプトづくりは難しく考えなくていいんです。最初はとりあえずのコンセプトを決めて走り始めて、やっていくうちに「コンセプト変えたほうがいいな」って思えば変えてしまってもいいわけです。もちろん数ヶ月おきにコロコロ変えるわけにはいきませんが。
広報誌や会報誌を作っていると、自分たちの知識や経験も積み重なっていきますし、外からもいろんな情報が入ってきます。原稿を依頼した筆者の人と話したり、取材先の人と話したり、社内の反響を耳にしたり……そうしていくうちに「ここをもっと突き詰めていけば面白い広報誌になるんじゃ!?」という独自性の芽に気がつくことがあります。
それが見つかればしめたもので、あとはその方向性をガンガン追求していけばより読者に届きやすい広報誌になるでしょう。 コンセプトが無いから広報誌を発行できない! というわけでもないので、特に初めての人は、つくりながら身につけていくというのは大いにアリだと思います。


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