こんにちは。「中小企業の広報に役立つマガジン」編集の安部です。
・過去に広報活動に挫折したことがある方
中小企業が広報を始めるにあたっては「専任の担当者を用意できるほど人的な余裕がない」「広告宣伝を強化する予算はないので広報で補いたい」などの背景をお持ちの場合が多くあります。そして少なからず「思ったよりもすぐに成果が出ない」「ほかの仕事が忙しくて目標達成どころか継続的な活動すらできなかった」といった結果に見舞われてしまうこともあるようです。
今回はそうした「予算がない・人手がない・結果が出ない」という状況におかれがちな中小企業さまに向けて、広報活動の取り組み方、育て方の鉄板3ステップを紹介します。
ステップ1:継続的な情報発信を定着させる
これまで広報をやってこなかった会社にとって、まず最初のハードルは継続です。
ネタを探すだけでも大変なのに、必死でひねり出したネタを発信しても何の反響もない。社内の理解も得られず「売上につながらない部門」として肩身の狭い思いをすることも多々あるでしょう。そうした環境の中でコツコツと情報発信を続けていくのは大変な根気が求められます。 最初から売上やPVなどの成果目標を立ててしまうと、あまりに現実味がなくてモチベーションが保てなくなります。
そこでオススメするのが、継続的な発信を定着させるのを最初の目標にすることです。アクセスや売上はまだ先の話。実際に、広報活動が問い合わせ獲得や売上などにつながるまでは2、3年くらいの長期スパンで見ておく必要があります。
誰に向けて発信する?
では、誰に対して情報発信をすればいいでしょうか? 広報というとお客さまやマスコミに対して発信するようなイメージがありますが、最初は「社内」に対して発信しましょう。
その一番の理由は、社内の人たちに広報に慣れてもらい、ネタ探しに協力してもらえる関係性をつくるためです。
広報のネタ探しには社内の協力が不可欠。広報活動への理解が得られていないと、せっかく面白いネタがあっても守りに入られてしまい、公開を許可してもらえないという残念な結果になりかねません。そうならないために、まずは社内向けの情報発信に限定することによって他部署の承認ハードルを下げ、広報への理解と協力を得ていくことが優先されます。
どんなことを発信する?
社内向けに、どんなことを発信していけばいいのでしょうか。
「この部署でこんな取り組みをやっていました」「社長の1日」「社内イベントのレポート」「製造部門のコストカット実例集」「新商品や新サービスの社内認知UP」「社員インタビュー」「社内展示会」「5S活動の啓発」「会社付近の地域の催し」「オススメランチスポット」……などなど、目を皿のようにして社内を走り回っていれば、必ずネタは見つかるはず。見つからなければネタは自分でつくってもいいのです。いろんな社内行事を企画するなど、ちょっと勇気と気合がいるけれど思い切って行動してみましょう。
どうやって、どのくらいの頻度で発信する?
発信の方法はいろいろです。
社内限定メールマガジン、専用チャットグループの立ち上げ、ポスター掲示、社内報配布など、方法はなんでもOKです。ただし、できるだけ全社員に情報が行き渡るツールを選んでください。
そして発信はできるだけ高い頻度で行いましょう。広報専任として取りかかれるなら、毎日。ほかの業務との兼任であっても週に2回程度の発信は最低ラインにしたいところです。
決して楽ではありませんが、最初の半年間はとにかく発信を絶やすことなく継続しましょう。
半年後には情報発信が当たり前になって、日頃から情報を探す目が養われていることでしょう。また社員の間でも「なんか最近やっとるな」というくらいには認知されているはず。人によっては協力的に情報を提供してくれるようにもなってくるはずです。
継続が定着したら、次のステップに進みます。
ステップ2:社員みんなが「私たちの会社はこんな会社です」と言えるようにする
次の目標は、社員みんなが「私たちの会社はこんな会社です」と言えるようにすることです。
自分の会社のキャラクターを、社員みんなが理解している状況をつくる。つまり、社内ブランディングができている状態にするということです。
たとえば「特定の分野に特化した会社」「特定の顧客層に特化した会社」といったような製品・サービス視点でもいいですし、「製品を通じてお客さまを笑顔にする会社」「とにかくまじめにコツコツやる会社」「お客さまに何度もお願いされる会社」「地域に貢献する会社」……などの企業姿勢でもOKです。あるいは曖昧なイメージではなく「残業ゼロを実現する会社」「地域貢献を年24回実施する会社」などの具体的な数値を入れてもいいかもしれません。
ステップ1の継続発信に上乗せした形での目標になるので、もしハードすぎるなら発信頻度を落とすなどして調整しましょう。
自分たちの会社がどんな会社なのかを、キャッチコピーで表現する
自分たちの会社がどんな会社か。それは「こんな会社でありたい」という理想として、よく理念とかビジョンとかミッションと言われたりします。トップ(社長や役員)が決めることが多いですが、上と下の間に立ち、トップの言葉を通訳するのが広報の務めです。
トップにインタビューを行い、描く自社像の真意を掘り下げます。どんなビジョンをもってその自社像を打ち立てたのか、臆せずにガンガン聞いていきましょう。 次は現場で動く一般社員たちにもヒアリングしてみます。トップの描く自社像に対しての率直な感想や、現場ではどんなことを考えているのかを聞き取り、トップとのギャップを掴みます。
取材が終わったら、トップからインタビューで聞き出した内容を、一般社員たちから見えている視野に合わせて、社員たちが誇りをもってその自社像を体現できるようなキャッチコピーを作り出していく作業を進めます。一番たいへんですが、一番重要な工程です。
気をつけるべきことは、トップの意図を改変してはいけないということです。あくまで大意は曲げずに、明快な言葉に生まれ変わらせましょう。
なお、トップがそういった理念をつくる意向を示さない場合は、広報として社の目指すべき形を提案し、トップからの了承を得て、社内に広げていきます。 待っていても何も変わらないので、自ら動いていきましょう。
口酸っぱく言い続ける
キャッチコピーが決まったら、それを全社に公布します。社長名で発信するなど、権威付けを行って社員に強く意識してもらうようにしましょう。みんなの頭の中に常に残るような言葉として定着させていきます。
ここで重要なのが露出です。社内ポスター、社内報、内部資料、チャットツールなどなど……誰もがその言葉を意識せざるをえないほど露出させ、浸透させていきます。社長や経営層が全社にメッセージを発信するときには、必ずそのコピーを使ってもらうように話をしておきます。
1年もすれば、きっと社員の誰もがそのコピーを意識の根っこに置いて、いつでも口にすることができるようになっているはずです。
なぜ社内ブランディングが必要なのか
なぜ社内ブランディングが必要なのか。キャッチコピーをつくって社内ブランディングを醸成すると、どんなことが起こるのでしょうか。
ひとつは、従業員たちが日々の仕事で目指すべき方向がハッキリし、意識が変わります。その変化は日々の仕事の質にも必ず現れてくるでしょう。従業員の働く意欲を後押しすることにもつながります。
さらに従業員たちに、自分が何のために働いているのかという動機を提供することができます。離職率の抑制や、自社の風土にあった人材採用ができるようになるでしょう。
こうして形成された社内ブランディングを、次のステップでは社外に向けても発信できるようにします。
ステップ3:会社の外から「あの会社はこんなイメージ」「こういう案件ならあの会社に相談してみよう」と思ってもらえるようにする
いよいよ最後のステップ、これが中小企業の広報活動の真髄です。
キャッチコピーを社外向けにアレンジ
ステップ2で醸成した社内ブランディングをもとに、社外向けに言葉をアレンジして伝えていく準備をします。すでに社外向けにも使えそうなキャッチコピーになっていればそのままで構いませんが、たとえば「売上至上主義」のようなコピーを掲げていた場合、それは社外にはそのまま出せませんよね。
社外向けに言葉をアレンジできたら、それを自社ロゴマークや名刺、会社概要、コーポレートサイト、自社の封筒、パワーポイントのスライドテンプレートなど、あらゆるツールに埋め込んでいきます。ただ載せるだけではなく、会社概要やコーポレートサイトで使われている一文一文をしっかりと見直し、「ウチはこんな会社です」というイメージが伝わるような文章に磨き直していきます。また、可能なら各種デザインもキャッチコピーに合うようにリニューアルしましょう。
情報発信の相手を社外に切り替える
ステップ1で継続していた情報発信の相手を、社外に切り替えます。
この頃には社内から自然とネタが出てくることでしょう。広報のネタ探しへの理解と協力が得られているほか、みんなが自社のブランドを理解しているから、外向けにどう見せていけばいいのかが共有しやすくなっているのです。
発信の手段はさまざまです。こちらで詳しく紹介しているのでご覧ください。
これらの手法を使いこなしていくには、かなりの労力を要します。ステップ2までをしっかりとやり抜けたなら、人員の補強や予算増を掛け合ってみてもいいかもしれません。
中小企業の広報活動を育てる鉄板3ステップ まとめ
この記事では、具体的に売上や利益の数値目標をもつステージまでは言及しませんでした。中小企業が広報を行うにあたって、数値目標を掲げるのはそれだけ難しく、先の話だと考えているからです。
ですがこのステップ1〜3は、数値目標の達成とはまた違った面でたくさんの間接的なメリットをもたらしてくれます。
最初のうちは肩身の狭い思いをするかもしれませんし、時間が経っても目に見える成果が得られないので焦りを感じることもあるかもしれませんが、じっくり腰を据えて取り組んでいただければと思います。


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